早いもので、開院して、一年半が過ぎました。

交通事故で来院された野良猫ちゃんは今回でもう、4頭目になります。

大腿骨の骨折で来院され、手術した子猫ちゃんは、保護された方の家猫に迎え入れられ、今はすっかり太って元気に走り回っています。

内臓をやられ、治療の甲斐なく翌日に昏睡状態となった野良ちゃんは、保護された餌やりさんが最後は家猫にしますと言ってご自宅に連れて帰られ、看取られました。

カルテを作るまでもなく、待合室に駆け込まれた時にはすでに息耐えていた野良ちゃんも。。。

そして、今回で4頭目。

道の真ん中で顔中血だらけになってもがいていた野良猫ちゃんを、見過ごせなかったと、自らも血だらけになり抱き抱えて連れてこられた通りすがりの男性と、一緒に来られたのはそこに居合わせたご近所の女性。面識のないお二人が話し合って当院を頼って来て下さった。

顔面を負傷し、ショック状態だった猫ちゃん。顎の骨折、目、鼻、口からの出血、ほっぺたにも裂傷。開口呼吸で痛がっていました。

助かる可能性、検査治療の必要性、切羽詰まった状況での私の早口の説明に対して、連れて来て下さった方の了解は直ぐに得られました。

入院生活は3週間に及びました。内臓は全部無事、首から下に負傷はゼロ。でも食欲廃絶は続きました。

点滴から始まり、剥がれた皮膚の縫合、下顎の骨折の手術と食道チューブの設置による栄養補給、シャンプー・・・。

最後までビビりちゃんのままでしたが、なでなですりすりもしてくれるようになり、血だらけ傷だらけだったお顔も美人ちゃんに大変身。2週間以上経ってから、やっと自らごはんを食べだしてくれるようになり、退院可能と判断できるほどになりました。

そして、何度もご家族で面会に来て下さった保護した男性。柴犬ちゃんを飼っているから飼育は無理だと仰っていたけれど、運命的なものを感じて下さったのか、ご家族の同意もあって、(私のしつこい説得に折れたのかも!?)お試し期間付きで、ご自宅に連れて帰って下さることに!

すっかりスタッフに愛された野良ちゃんは、キジ模様の女の子。桜耳なのでたぶん避妊されている野良ちゃん。お預かり初日から勝手にキジ子と呼んでいましたが、数日で愛称はジーコに変化してしまい、すっかり定着です。事故に遭ったからジーコ、ではなくて、キジネコだからジーコです!

実は同じく野良ちゃんで以前保護され入院していたカイト君の名前も、疥癬症がひどかったため初日から勝手に「かい君」と呼んでいました。そんな話を保護された方にお話ししたところ、かい君の「カイ」は残して、「絵斗(カイト)」と命名して下さったんです。

今はスタッフ西の家でぬくぬくと暮らしています。

さて、ジーコちゃん、お試し期間が過ぎてもご連絡がなく、すっかり飼い猫になっていると期待しつつも様子伺いの連絡をしたら。。。

まだケージから出ないでビビってはいるものの、食事排泄は問題なく、娘さんと柴犬ちゃんには慣れたようで^ ^

先日、とっても久し振りに、骨折のワイヤーを抜くためにご来院されましたー!!!

なんとなんと500グラムも太った彼女、相変わらず診察台にしがみつく怯えっぷりは変わらずでしたが、野良の面影はすっかり消えていました!

名前は。。。

キジコのままだそうです。ちょっと申し訳ない気分です。

キジコとの運命の出会いを、きっときっと、ご家族は前向きに受け入れ、癒しをもらって、益々幸せな日常を共に送って下さると信じています。

 

入院中、くま兄ちゃんと少しだけ仲良くなれたキジコちゃんですが、

頭なめなめしてもらったあと、軽いパンチを喰らって面会終了としました・・・。

くま、悪いヤツです。