大学時代、わりと好きだった寄生虫病学の授業。

寄生虫を愛おしいと思えるほど好きじゃなきゃ、数ある分野からあえて寄生虫病学の教授になんて、普通はならないと思います。だから寄生虫の先生は変わり者でした。

でも、勉強すればするほど面白い、寄生虫くん達の生態。宿主無くして生きられない、子孫を残せない。見た目も変な虫たち。

勤務医の頃、イヌニキビダニのモノマネをしたものです。(似ています)

でもやっぱり憎き敵。特に人間社会で話題になるのはどうしても人と動物の共通感染症となる虫たち。中でも最近ではマダニが有名虫ですね。

でも動物病院で一番身近な寄生虫は、何と言っても断トツでノミではないでしょうか。

昔は首輪タイプやシャンプータイプなど、駆除効果が限られるノミ取りグッズしかありませんでした。

今はとってもありがたいことにたった月一回の予防で100%近い予防効果!

でも実は、予防ではなく、駆虫なんですよ、どの薬も。。。付いてしまった憎っくきノミを短時間で駆除してくれるんです。マダニも一緒です。

だから、予防していても、山登りやキャンプに連れて行くと、大自然でいっぱい遊んだわんちゃんはマズルにたっぷりマダニをくっつけて帰って来る事も。

網戸を開けて脱走し、野良猫ちゃんたちといっぱい遊んで帰宅する猫ちゃんにノミが飛んでいる事も。

予防しているのになんで??

そうなんです。駆虫効果が出るまで、しばらくお待ち下さい、なんです。

アウトドア派のわんちゃんや外出自由猫ちゃんで、予防しているのに良く寄生されるという方は、商品の種類や使い方などによる事もありますので是非ご相談下さい。

対策をお教えします。

 

因みに大学入って直ぐから飼っていた私の愛猫「ちち」、田舎で捨てられていた、へその緒とノミが付いていた新生児。

当時はノミ取り櫛でキャッチしては爪でブチッと潰す日々でした。潰す事で卵をまき散らし、せっかく殺めたノミの個体数を増やしていたなんて。

今じゃ背中がザワザワする話ですが、部屋の中はノミが飛び交うほどの大繁殖。

毎日原チャリで一緒に登校。授業中に抱っこで哺乳、サークルの部室前(屋根付きの屋外)に繋いで留守番、居酒屋に同伴して刺身を分ける、帰宅後一緒にベッドで添い寝。

飼育後も部屋にもちちにもノミを増やす日々でした。

はい。獣医師失格飼育スタイルでした。。。

私の両足はノミに喰われまくって痒くて汚くてとてもさらけ出せない状況に。(美脚とはかけ離れているのでそれ以前の問題です)

ノミ取りシャンプーでゴッソリ落ちたと思っては天然孔に逃げた生き残りがまた大繁殖、ノミ取り首輪を付けては下半身に逃げて繁殖継続、自宅に帰れば弱って落ちて復活して待機していたノミが再寄生、ちちも私も、よく耐えました。よく貧血で倒れなかった。

ノミと共生(?)して、生後10ヶ月を迎えたちちは、自宅で脱走。夜通し、必死で探しました。

そして、駐車場の隅で、男とイチャイチャしているところを発見。

涙の再会でした。だから巨大な野良猫君の存在なんてすっかり記憶から消えていました。

2ヶ月後、4匹の赤ちゃんを産みました。

大学一年だった私は不覚にも、生まれる当日まで、偽妊娠でもお腹って大きくなるんだよ、と言う先輩の話を信じていたんです。

その日はたまたま自宅に留守番させ大学へ。夜、帰宅するとお腹がぺったんこに!!

本当に焦りました。いや、本当に頭が真っ白になりました。内臓が消えたかと。

言葉を失った私に、ちちはベッドまで私を案内してくれました。そう。私とちちの寝床。布団の中には血だらけシミだらけ変な色の分泌物とともに、赤ちゃんが産声をあげていました。感動して涙したのをよく覚えています。

その日から私とちちの24時間体制の2人3脚の子育てが始まったんです。何度授業をサボったかは覚えていません。

生後1ヶ月を過ぎた頃から、里親探しを始めました。可愛すぎる子猫たちは直ぐに大学で決まると思っていました。サークルのみんなに見せると、白猫の赤ちゃん2匹はノミが丸見え・・・。ゾロゾロ逃げ回るノミがよく観察できるって、どんだけ大量寄生なんでしょう。目立たなかった黒猫が先に里親決定。

はい。獣医師失格育児スタイルでした。。。

それでも無事、全員里親が決まり、私とちちとノミたちの生活が戻ったんです。

布団は買換え、部屋はバルサン、引き続きノミ取りシャンプーと首輪でダブル治療、毎日ノミ取り櫛で駆除。

ちちのノミが完全に消えたのは、おそらくスポットタイプが発売されてからです。

 

皆様とその可愛い家族達に、同じ苦しみを味わって欲しくない、私がノミ予防をオススメする一番の理由はそこです。

しかも簡単に予防ができて確実。やらない理由なんてありません!(完全室内飼育の場合は寄生リスクは決して高くはありません)

 

因みに、こんな飼い主のせいで色んな苦労をさてしまったちちは、20歳7ヶ月で、静かにその生涯を終えました。

私にしか気を許さない、怒りっぽくて気が荒いキジ猫ちゃん。でも、娘にだけは、首を絞められても我慢してくれたんです。

たくましく長生きしてくれて、今でも感謝。本当に、多くを教わりました。