意外と多いわんちゃん猫ちゃんの心臓病。特に猫ちゃんは症状が出にくく発見が遅れがちです。

前回は心臓病の症状がなかった猫ちゃんで見つかり、今回はわんちゃんで。予防で来られて心雑音を発見、既にかなり進行した心臓病でした。興奮しやすいわんちゃんで、舌の色も悪く、すぐに酸素室に入りました。中にいる間は呼吸も楽になり舌の色もピンク色でした。心機能検査も酸素マスク下で行いました。

僧帽弁閉鎖不全症と、三尖弁閉鎖不全症を合併していました。お薬生活の始まります。

僧帽弁閉鎖不全症とは、心臓の中の左側の弁(僧帽弁)が逸脱して血液が逆流する病気です。小型犬にとても多く、今では循環器の専門病院で手術も可能ですが、高額かつハイリスクです。

まだまだ一般的な治療は飲み薬による内科治療です。人と同様、生涯にわたって内服が必要です。進行すると肺水腫や腹水、努力性呼吸や腎臓病など、全身を苦しめていきます。辛い経過を辿る病気の一つです。

卒業して間もない勤務医時代、大学の循環器科で週1回研修医をしていました。出身高校が同じ、先輩でもある恩師に多くを学びました。その子その子の病態、経過、薬との相性、生活環境などを考慮して、あらゆる心臓薬を組み合わせたり変更したり増量したり。毎日投薬するご家族も、呼吸が苦しいのに投薬される動物自身も、検査に通う負担も、そして進行している事実や薬が増える事実をお伝えする獣医師も、みんなが辛い思いをする病気です。

でも大丈夫です。神様がその子に与える病気は様々。試練は乗り越えるために訪れます。強くなるためのステップです。また一つ、何かを得るために与えられた試練。何かに気付くために与えられた宿命。動物も人も。

元気な時に見つかってよかった。お薬始められて良かった。少し、症状が楽になった、良かった。咳が減った、良かった。心臓病なのに、今でも散歩大好き。心臓病なのにガツガツ食べるおデブちゃん。心臓以外どこも悪くない見た目は完璧な健康体ちゃん。

それぞれの病気に、それぞれの良かったを見つけてあげて下さい。ご家族自身にも、動物自身にも。 最期を迎えるその日まで。

昨年永眠したスタッフ庄司の愛猫シャープちゃんは、心臓病が見つかってから一年頑張ったそうです。17歳。長生きでした。